【コラム】国際母語デー:タタールスタン大統領のメッセージとチュヴァシ人記者の憂い

Рөстәм Миңнеханов Татарстан халкын Халыкара туган тел бәйрәме белән котлады

«Чӑвашла тумлантарнипе ача чӑвашла калаҫма тытӑнмасть»


チュヴァシの民族衣装を着た子供たち


日本ではあまりなじみがないが、今日は国際母語デーである。世界では多くの言語が消滅の危機に瀕しており、多民族国家ロシアでも少数言語の衰退が進んでいる。本サイトで扱っているタタール語やチュヴァシ語も例外ではない。
タタールスタンのルスタム・ミンニハノフ大統領は国際母語デーを祝い、インスタグラムに下の画像をメッセージ付きで投稿した。


 


大統領が投稿したこの画像は、タタールスタンのシルエットに ХӘЕРЛЕ ИРТӘ(タタール語で「おはよう」)と書かれており、その周りをタタール語やロシア語など、いくつかの言語の様々な単語が取り囲んでいるいるものである(ミンニハノフ大統領は毎朝インスタグラムに「おはよう」と投稿している)。大統領はこの画像を、以下のメッセージ(19世紀に活躍した有名なタタール人学者カユム・ナスィリーの言葉)を添えて投稿した。

«Кеше үзенең телен яхшы белмәсә, башка телгә төшенә алмас! Доброе утро! Хәерле иртә! Good morning!»

「人は自分の言語がちゃんとできなければ、他の言語を理解することはできない!おはよう(ロシア語)!おはよう(タタール語)!おはよう(英語)!」

 都市部の若年層を中心に、タタール語ができないタタール人が増えている。彼らに、大統領のメッセージは届いただろうか。

タタールスタンのチュヴァシ語紙スヴァルのコンスタンチン・マルィシェフ記者は、「チュヴァシの服を着せても子供はチュヴァシ語を話さない」と、チュヴァシ語の現状を嘆く。「母語デーに二つの民族を比較」と題された記事でマルィシェフ氏は次のように述べている。

«Эпир ачасен пуласлӑхне чӑвашсемпе мар, урӑх халӑхпа ҫыхӑнтаратпӑр. Урӑхла каласан курмастпӑр вӗсен чӑвашла пуласлӑхне»

「私たちは子供たちの未来をチュヴァシ人ではなく他の民族と結び付けています。別の言い方をすれば、彼らのチュヴァシ人としての未来を見ていないのです」

«Эпир ачасене вырӑс пулма хатӗрлетпӗр, тутарсем урӑхла. Каласа хӑвармалла, вӗсене те хула пурнӑҫӗ тӑван чӗлхинчен уйӑрма хӑтланать, анчах та кирлӗ механизмсене шыраса тупнӑ кӳршӗсем»

「私たち(チュヴァシ人)は子供たちをロシア人にしようとしていますが、タタール人は違います。彼らも都市での生活によって母語離れが進んでいますが、彼らは(母語を守るための)必要なメカニズムを探し当てたのです」

マルィシェフ記者は、タタールスタンで行われたタタール語保護活動をいくつか挙げ、これらに比べてチュヴァシ共和国におけるチュヴァシ語保護活動が不十分であるとの認識を示した。


筆者:boltwatts
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